オスティナート(Ostinato)はイタリア語で「頑固な・執拗な」を意味します。音楽用語としては繰り返し続けるパターンを指し、ドラムのコーディネーション練習では「一部のパーツを自動化して繰り返させながら、他のパーツを自由に動かす訓練」を意味します。
なぜオスティナートが重要か
ドラムを演奏するとき、手足のすべてに意識を向け続けることは不可能です。熟練したドラマーは、あるパターンを**意識せずに動かせる状態(自動化)**を作ることで、残りの意識を別のパーツや音楽的表現に使っています。
たとえば、ハイハットを8分音符で刻むパターンが「自動化」されていれば、その間に左手でゴーストノートを入れたり、足のパターンを変えたりすることに集中できます。
オスティナートの練習とは、「自動化の感覚」を意図的に育てる練習です。
代表的なオスティナートパターン
ライドパターン(ジャズのオスティナート)
右手のライドを固定しながら、左手(スネア)と両足を自由に動かします。
ハイハット+バスドラム(ロック/ファンク)
ハイハット8分音符と1・3拍目バスドラムの2パーツを固定して、左手スネアのバリエーションを自由に変える練習です。
リズムパターン全体をオスティナートにする
上達すると、ビートパターン全体(ハイハット+スネア+バスドラム)をひとつのオスティナートとして自動化し、その上にソロやフィルを乗せられるようになります。
※ スピーカーでご使用の場合はマナーモードを解除してください
LESSON 1:右手の8分音符を維持する

右手で8分音符を刻み続けながら、左手でスネアを2・4拍目に打ちます。
右手の8分音符がつられず楽に維持できることを目標にしてください。左手を動かした瞬間に右手のテンポや音量が揺れる場合、まだ右手が自動化されていません。揺れがなくなるまで、ゆっくりのテンポで繰り返します。
- BPM 60〜70からスタート
- 右手が「刻んでいることを意識しなくなる」状態が目標
- 途中でテンポ・音量が揺れたら意識が引き戻されているサイン
LESSON 2:フットパターンを維持しながらスネアフレーズを練習する


上の譜面のフットパターン(バスドラム+ハイハットフット)を維持しながら、スネアで以下のフレーズを練習します。

足のパターンが崩れないまま、スネアのフレーズが正確に打てるかを確認してください。スネアに意識が向くほど足がつられやすくなります。足を自動化する感覚を先に作ってから、スネアのフレーズを重ねていくと定着しやすいです。
LESSON 3:さまざまなスティックコントロールをフットパターンで試す
LESSON 2のフットパターンを保ちながら、スティックコントロール(アクセント・ゴーストノート・ダブルストローク・ルーディメンツなど)をさまざまに試してみましょう。
決まった課題をこなすだけでなく、自分なりのアイデアで素材を組み合わせることで練習は無限に広がります。「このアクセントパターンをフットオスティナートの上に乗せたらどうなるか」という問いを持ちながら取り組むと、コーディネーション能力が自然と伸びていきます。
COORDINATION FLOW(EXITドラムレッスン)では、このオスティナートの概念を軸にした198のコーディネーションパターンを収録しています。
自動化のサイン
自動化が進んでいるかを確認する方法があります。
オスティナートを維持しながら会話できるか。
手足が自動化されていれば、叩きながら話すことが可能になります。まだ意識を向けないと崩れるなら、もう少し練習が必要です。
音楽的には「オスティナートを維持しながら音楽を聴けるか」がより本質的な確認になります。自分が何を演奏しているかを「聴いている」状態で演奏できることが目標です。
まとめ
オスティナートの練習は「楽に演奏できる状態を作ること」です。
難しいことを無理やり叩けるようになることではなく、あるパターンが「難しくなくなる」まで定着させること。それが積み重なることで、演奏全体の自由度が広がっていきます。
次のカテゴリ「リニアドラミング」では、四肢が重ならない奏法でコーディネーション能力をさらに高めます。
教材リンク
COORDINATION FLOW — オスティナート
オスティナートを軸に198のコーディネーションパターンを収録した中〜上級者向けワークブック。
アレクサンダー・テクニーク+ドラム
「自動化」と「意識の解放」を身体の仕組みから解説。オスティナートの感覚と深く共鳴する内容です。
TIME FUNCTIONING PATTERNS(Gary Chaffee著)
当レッスンでも使用しています。4Wayコーディネーションと時間感覚を体系的に鍛える定番テキスト。
The Art of Bop Drumming(John Riley著)
ジャズドラムのコンピング・コーディネーション・スタイルを体系的に解説した必読書。



