ダブル(ロール)系ルーディメンツは、ダブルストロークを基礎に、一定の打数パターンでひとつの「まとまり」を作る技法群です。フィルイン・ロール・バックビートの装飾など、演奏のあらゆる場面で使われます。
ロール系ルーディメンツの仕組み

ロール系の名称に付く数字は、「そのルーディメンツに含まれる総打数」を表します。奇数打で終わるため、次のセットでリードハンドが入れ替わります。この「入れ替わり」により、繰り返してもバランスが保たれます。
全13種のロール系ルーディメンツ
マルチプルバウンスロール(Multiple Bounce Roll)

スティックを打面に押し付け、バウンドで連続した小打を出す奏法。打数を指定せず、密度を耳でコントロールします。クラシックパーカッションのトレモロに相当します。
ダブルストロークオープンロール(Double Stroke Open Roll)

ダブルストローク(R R L L R R L L…)を連続させた最も基本的なロール。「オープンロール」とも呼ばれ、各打を明確に聞こえるよう打ちます。
トリプルストロークロール(Triple Stroke Roll)

同じ手を3回連続して打ちます(R R R L L L…)。ダブルよりも密度の高い連打感が得られます。
5ストロークロール(5 Stroke Roll)

最もよく使われるロール系ルーディメンツ。ダブル×2+シングル×1の構成(R R L L R)。フィルインの「タカタカ・タン」の感触に相当します。
6ストロークロール(6 Stroke Roll)

ダブル×2+シングル×2の偶数打(R R L L R L)。同じ手でリードが続きます。
7ストロークロール(7 Stroke Roll)

5ストロークロールにダブルをひとつ追加した構成(R R L L R R L)。
9ストロークロール(9 Stroke Roll)

ダブル×4+シングル(R R L L R R L L R)。半拍分の連打として使われます。
10ストロークロール(10 Stroke Roll)

偶数打(R R L L R R L L R L)。最後の2打がシングルになります。
11ストロークロール(11 Stroke Roll)

ダブル×5+シングル(R R L L R R L L R R L)。
13ストロークロール(13 Stroke Roll)

ダブル×6+シングル。1拍以上の長い連打に使われます。
15ストロークロール(15 Stroke Roll)

ダブル×7+シングル。2拍にわたる長いロールに対応します。
17ストロークロール(17 Stroke Roll)

ダブル×8+シングル。1小節の長い連打として使われます。
レソン25(Lesson 25)

ダブル+シングル2打の4打構成(R R L R)。アクセントとリバウンドを組み合わせた独特のパターンで、ダイナミクストレーニングとして古くから使われています。
ロールとしての使い方
打数を意識しながら叩くだけでなく、音楽的なフレーズの中でロールとして機能させることが最終目標です。
テンポによって最適なロール打数が変わります。速いテンポでは5〜7スト、ゆっくりなら13〜17ストが自然に聴こえます。
※ スピーカーでご使用の場合はマナーモードを解除してください
LESSON 1:5ストロークロールの習得
まず片手ダブル(R R…/ L L…)が均等に出せることを確認します。ダブルストロークの練習が土台になります。
Step 1:片手ダブルを交互に(R R L L R R L L…)安定させる
Step 2:5ストロークロール(R R L L R)を繰り返す。最後のシングル(アクセント)がグループの頂点として聴こえるようにする
最後のシングル(アクセント)のタイミングが安定するまで BPM 50〜60 で練習します。
LESSON 2:打数を変えながら連続する
5スト→7スト→9ストと打数を変えながら、アクセントのタイミング感覚を変化させます。
打数が増えるにつれて「連打の長さ感」が変わります。どのロールでも最後のアクセントが次の拍頭に着地するコントロールを養います。
LESSON 3:フレーズへの組み込み
4/4拍子の4拍目にロールを入れる練習です。
1〜3拍目はシングルストロークで刻み、4拍目に5ストロークロールでフィルを入れ、次の1拍目のアクセントにつなげます。「ロールの長さとアクセントの着地点」を意識することが、音楽的なロール習得の核心です。
まとめ
ダブル(ロール)系ルーディメンツの本質は、「ダブルストロークをどんな長さで区切るか」というコントロールです。打数の名称を覚えることより、音楽的な文脈の中でロールを使えることが大切です。
次のカテゴリ「パラディドル系」では、シングルとダブルを組み合わせたより複雑なパターンへと進みます。
教材リンク
STICK FLOW Vol.2
ダブルストロークの基礎からロール系ルーディメンツへの橋渡しを体系的に収録した初〜中級者向けワークブック。
アレクサンダー・テクニーク+ドラム
「リバウンドを使う」感覚を身体の原則から理解するための視点が、ロール習得の質を変えます。
The All American Drummer(Charley Wilcoxon著)
当レッスンでも使用しています。26のアメリカンルーディメンツを収録した定番教材。

